- 2025年8月7日
何歳になったら始める?大腸カメラ
40歳過ぎたら大腸カメラを勧めます。私も40歳から大腸カメラを始めました。2人に1人はがんになる時代です。がんのなかで、かかる人が最も多いのが大腸がんです。一方、早期の大腸がんが9割は治るといわれています。膵臓がんや肺がんと違って、大腸がんは、“おとなしいがん”と言われています。それだけに、きちんと大腸カメラを受けて、早期発見早期治療することがとても大事です。
なぜ40歳から?

この図は、2020年の国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)からの引用です。大腸がんは30歳代で少しずつ始まり、40歳代から増えてきます。地方自治体の大腸がん検診(便潜血反応検査)も40歳からです。
40歳未満でも大腸カメラが必要な方
次に挙げる方は、40歳未満でも大腸カメラがおすすめです:
*家族歴がある方
両親、祖父母、兄妹、親戚など近親者に大腸がんがいる場合、ご自身が大腸がんになりやすい遺伝子を持っている可能性があります。
*症状のある方
腹痛、血便、便秘、下痢などお腹にまつわる症状のある方。大腸がんの初期症状だったり、他の腸の病気がある可能性があります。
*炎症性腸疾患の方
最近増えている炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)の方は、大腸がんになる確率が高いとされています。定期的な大腸カメラは必須です。
大腸カメラをおすすめの方
*40歳以上の方(特に人生で一度も大腸カメラを受けてない方はおすすめ)
*検診の便潜血で陽性の反応がでた方
*おなかの調子が悪い方(便秘、腹痛、下痢など)
*便に異常がある方(血が混じる、便が細い、痛い、便秘と下痢を繰り返す)
大腸カメラを受ける3つのメリット
メリット1:ポリープがあれば診断しながら治療もできる
大腸カメラはバリウムや便潜血と違って、ポリープが見つかったら、その場で切除できます。診断と治療が同時にできます。
メリット2:大腸がんの早期発見早期治療につながる
大腸がんの多くは良性のポリープから始まります。ポリープの段階で見つけて切除できれば、大腸がんを予防することができます。
メリット3:日本人で一番多いがんを予防できる
大腸がんは日本でもっともかかる人が多いがんです。がんによる死亡数は肺がんに次いで第二位です。膵臓がんなど早期発見が難しいがんもありますが、大腸がんは、大腸カメラを適切に受けることによって予防できるがんです。
便潜血検査ではダメですか?
市や区のがん検診は便潜血検査です。もちろん、便潜血検査は重要な大腸がん検査のひとつです。しかし、ウィークポイントもあります。
*大腸がんがある方の3分の1は陽性にならない(偽陰性)
*陽性の3分の1は、痔や生理などで大腸がんやポリープではない(偽陽性)
*小さなポリープや早期がんでは陽性にならない
自治体が行うがん検診なので、確固たるエビデンスのある有効な検査法であるのは間違いないです。しかし上記のような要素もあるので、40歳過ぎたら大腸カメラをおすすめします。
大腸カメラを受ける間隔は?
ポリープがあった方:毎年
ポリープがなかった方:2−3年毎
人生初の大腸カメラでポリープが1個もなかった方は、体質的にポリープができづらく、一生ポリープができない可能性が高いです。しかし、大腸にはひだがあり死角があること、常に動いているため観察が不安定であることから、ポリープのうち20%は見落とされているとの報告があります。よって、“ポリープはありませんでした”の確度は80%です。20%の確率でポリープはまだあります。少なくとも、大きいポリープはないでしょう。小さなポリープが大きなポリープに育つには2−3年、ポリープが進行がんになるには5−10年はかかります。ポリープがなかった方も、2−3年毎の大腸カメラをすすめます。
ポリープがあった方は、ポリープができやすい体質をもっています。大腸がんは脂質の多い、繊維の少ない食事が原因と言われますが、どんなに食事を気をつけても、生まれつきの体質を変えることはできません。ひだに隠れているポリープの存在も考えて、年に1回の大腸カメラをすすめます。