- 2026年1月3日
帯状疱疹ワクチンが認知症に効く不思議な話
明けましておめでとうございます。昨年7月に開業して早半年。人生で一番長い苦労の多い半年間でした。オペレーションの悪さが目立った半年で、みなさまには大変ご迷惑をおかけしました。トヨタの、“カイゼン”の精神をまねて、今年はしっかりとPDCAサイクルを回していきたいと思います。本年も何卒よろしくお願いいたします。
さて、本年最初の話題は、“帯状疱疹ワクチンと認知症予防”です。帯状疱疹ワクチンは心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントを低下させることが知られています。別の研究では、“死亡リスク”を減らすとされています。そのなかで今もっとも注目されているのは、帯状疱疹ワクチンによって、認知症が劇的に減ることです。
Nature誌論文:
https://www.nature.com/articles/s41586-025-08800-x#MOESM1
なぜ効く?
一見関係ない帯状疱疹ワクチンがなぜ認知症を予防するのでしょう?
- 脳の炎症がなくなる(認知症の原因のアミロイドβは、神経炎症により蓄積する)
- 単純ヘルペスウィルス(HSV-1: 認知症の原因のひとつ)が消失する
- 脳内免疫が活性化(AS01アジュバントが免疫強化)
どれくらい効く?
認知症になるリスクが2-3割減るとされています。
誰が効く?
以下の方がより認知症予防効果が高いとされています:
- 女性
- 自己免疫疾患(膠原病)の方
- アレルギー体質の方
生ワクチンとシングリックスどちらが効く?
シングリックス vs 生ワクチン シングリックスが認知症の発生が17%低い
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39053634
今回のNature誌の論文は生ワクチンを使っています。生ワクチンは1986年から発売され、歴史が長く、信頼感があります。一方、シングリックスは、ウィルスの抗原性のある部分を取り出して、免疫応答を高めるアジュバント(AS01)を加えて化学的に合成されたものです。2020年に認可された比較的新しい薬です。
生ワクチンは抗体獲得率が低く40-70%で、そのなかの抗体持続率も5年で40%に低下します。一方、シングリックスは、95%以上の抗体獲得率、70%以上が10年以上持続するとされています。
認知症予防の点でも、理論的にはシングリックスの方が上です。実際に両者を比べた研究でも、シングリックスの方が生ワクチンを上回る結果となっています。
早めの帯状疱疹ワクチン接種を!
杉並区は満50歳以上のすべての住民に対して、帯状疱疹ワクチンの助成を行っています。期限は2026年3月31日です。シングリックスは2回接種が必要で、2ヶ月間隔です。3月31日までに2回の助成を受けるためには、必ず1月31日までに1回目の接種を済ませるようお願いいたします。
